急いて歩くから転ぶんだ、足元しっかり見て踏みしめて歩いてごらん。




彼はわたしよりも幼い。

幼いという言い方は失礼かもしれない。そう、若い。わたしより若いのだ。

なのに、彼の背には無数ともいえる傷が痕になって残っている。

ぶっちゃけて言ってしまうなら、背だけで済むようなものではないが。

思わず触りかけて、ためらった。


この背は、言葉よりも何よりも如実に、何かを物語ってくる。

強い思い。



護り抜くちからをその手にするための、勲章。

この地を永遠に封印するまでのいばら途を駆け抜けているような、そんな痕。




誇り高きその背は、もう少し成長して逞しくなれば、きっと頼りがいがあるだろう。

「もう誰も傷つくのを見たくない」

かつて漏らした言葉は、間違いなく本音のひとつだ。

ならばその思いを遂げるまで、わたしはこの地で君を支えよう。

時には矛に、時には盾に。

そして時には全てを凪ぐ刃として、君の前にも立ちはだかろう。

それがきっと君の、そしてわたしのためになる。



そう誓った、ある肌寒い日。

+++++++
15画漢字で30のお題より、20:瘡(結界師)
拍手お礼文。
0408:収納