30







「……あ」

「あ?」

「や、髭が」

「髭?…あ、伸びてんな」

「剃ってくださいね」

「なんで?」

「…なんでって、そりゃ、みっともないから」

「ほー?」

「ただでさえ唯一の良いところだった顔が台無しになります」

「唯一ってオマエな……まぁいいや、つーかさ」

「はい?」

「なんで詰まったの、さっき」

「あははー気のせいじゃないですかー?」

「う・そ・つ・け」

「っほ、ほんとに何にもないですよ!」

「知ってるか?オマエ咄嗟にうそついたらすげーどもんの」

「は!?いやちょっ、顔近い………―――んッ……っぃ、た…!」

「……あーなるほどな。わかった、剃るわ」

「是非そうしてください……ていうか、部屋じゃなかったら殴ってますよ」

「おお怖ぇ竹巳ちゃん」

「ちゃんって…まぁいいや。今すぐ剃ってきてくださいね」

「は?なんで」

「だって風呂まで待ってたら先輩忘れてそうだし」

「オマエはオレをバカ代と間違えてんのか?」

「まさか。ただたまに同類だなぁと思うことはありますけ…(しまった)や、あの」

「……ほほう。愛しい恋人に向かってそういうこと言いますか竹巳サン…」

「いやあのそれはですねっていうかなんで近づいてくるんですか!」

「え?そりゃーもちろん、可愛い可愛い竹巳に戻ってもらおうと思ってな」

「アンタ本気ですか!?まだ夕方……………」

「…まーちょっと髭痛いけど我慢しろよ。さっさと終わらしてやっから」

「……………(こんのエロ大魔王め)」



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15画漢字で30のお題より、30:髭(笛!三笠)
すいません微妙に下品で…
要するに、
「ちゅーするときみかみんの髭がたっくんにあたって痛い」
ってことを言いたかったんです。